ご購読者様限定のプレゼントです


⇒もっと見る

⇒もっと見る

⇒もっと見る
 ┗留守止め



 ┗取扱紙

 ┗会社概要
 ┗求人募集

幸運くじ
会員登録(無料)すると毎月プレゼントが当たる「くじ」引けます
幸運くじとは
全日本国民を勝手にランキング
今日のアナタは日本で何位
⇒くじを引く


⇒もっと見る
なるほどサイエンス(失われるウマの遺伝的多様性)

失われるウマの遺伝的多様性

 
ウマはとても身近な動物です。19世紀初めに英国で蒸気機関車が発明されるまでの数千年間、ウマは最も速い陸上の移動や運搬の手段として、世界中で利用されてきました。
 
そんなウマのゲノム(遺伝情報)の変遷を過去5千年にわたり調べた研究の成果がこの5月、アメリカの科学誌「セル」の電子版に載りました。わかったのはまず、この2千年間に父親由来のY染色体の多様性が着実に低下したことです。
 
これは、繁殖に特定の種牡馬を使うケースが増えたことを示すそうです。ウマが家畜化された時期ははっきりしませんが、少なくとも2千年前ごろから品種改良が始まったのでしょう。
 
そして、この1千年ほどの間に、より速く走る「スピード遺伝子」が広まります。東ローマ帝国(395〜1453年)とイスラム軍の戦いなどを通じ、東方のウマがヨーロッパへ流入。強い遺伝的影響力を発揮していきました。
 
しかし、優れたウマを求める人の長年の営みは、大きなリスクももたらしました。とくに最近の200年間は近代的繁殖法が世界中に広まり、ウマの遺伝的多様性は一気に16%も低下したそうです。
 
遺伝的多様性が失われると、たとえば病気に対して同じ弱点を抱えるようになります。度が過ぎると、種の存続そのものを脅かしかねません。
 
競走馬のサラブレッドなどをのぞけば、ウマに速さを求める時代は、とうに過ぎ去っています。身近であり続けるためにも、遺伝的多様性の回復に目を向けるときのようです。

朝日新聞編集委員 上田 俊英