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なるほどサイエンス(「山の恵み」キノコの不思議)

「山の恵み」キノコの不思議

 
キノコって、不思議です。動物でも植物でもない「菌類」。カビや酵母の仲間ですが、あるときニョキニョキとキノコに成長。1本足に傘をかぶった「立ち姿」は、もしかして妖精?
 
そんなキノコを、人は古くから食材にしてきました。「山の恵み」とも呼ばれますが、それは採れる場所だけを指しているのではありません。
 
キノコは植物と違って葉緑体がないので、自らエネルギーをつくり出せません。このため、さまざまな物質を外から吸い上げて生きています。その中にはカリウム、マグネシウムといったミネラルなども含まれています。キノコには、まさにその土地の「恵み」が凝縮しています。
 
人はこうしたミネラルを体内でやりとりして、体のさまざまな機能を調節しています。キノコが古来、薬用として珍重されてきたのも、実際、幅広い効用があったからでしょう。
 
ところで、キノコは専門的には「子実体」と呼ばれ、植物の「花」にあたります。子実体は「種」にあたる胞子をまき散らし、命をつなぎます。胞子はやがて芽を出し、糸のような菌糸をのばします。
 
でも、そのままぬくぬくと生きていては、決してキノコはできません。2本の菌糸が融合し、そこからキノコが生えるには、「子孫を残したい」と感じさせる危機が必要だといいます。たとえば大雨や落雷、急激な気温の変化??。
 
とはいえ、どうやってそんな危機を感じとるのでしょうか。ますます不思議です。「秋の味覚」の魅力は尽きません。

朝日新聞編集委員 上田 俊英



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