人が「四足」で走ってみたら……
陸上で最も速く走る動物といえば、チーターが思い浮かぶでしょうか。時速100㌔以上とされ、高速道路の自動車並みです。
動物の走る姿から考えを広げ、走る速さを推測する方法を考えたのは、浜松市の高校2年生でした。同じ四足走行なのに、なぜチーターとキリンの速度に違いがでてくるのか、と。
動物の体格や骨格を調べたデータを、機械学習と呼ばれる方法でコンピューターに解析させ、後脚の長さと体長の比率などが速さに影響していることを割り出しました。このモデルを使い、古代の肉食獣サーベルタイガーが時速約61㌔で走ったことも推測できたそうです。
この研究は4年前の新聞記事で見つけました。全国の高校生らが競う科学技術のコンテストで入賞を果たしました。視点を変えると違う景色や物事の本質がみえてくる、ということでしょうか。
二足走行の人間では100㍍の日本記録は山縣亮太選手の9秒95。ウサイン・ボルト選手の世界記録9秒58には差があります。しかし、「四足走行を極めれば海外の選手にも勝てるかもしれない」と考えたのは、鳥取県米子市の米江龍星さんでした。
中学時代に理科の先生の話から思い立ち、以来9年間にわたって登山道や砂浜で練習を重ねてきました。猿や猫の動きで走法の研究も深め、集大成として今年9月、従来の記録を1秒11上回る14秒55のギネス世界記録を樹立しました。
これが五輪の公式種目になったら……。そんな空想をしてみたくなりました。
朝日新聞論説委員 西山良太郎
