現場一期一会(習慣となったマスクを外せるのか)

習慣となったマスクを外せるのか

表情豊かな口元であふれるのでしょうか。5月8日に新型コロナウイルスが感染症法上、インフルエンザと同じ扱いになってからの光景です。

マスクは個人の判断でと言われても、人々はなかなか外しませんでした。新年度になって出勤時に周囲を観察しても、マスクなしは数十人に一人です。無理もありません。国内ではマスク生活が3年以上も続いたのですから。

朝日新聞社のデータベースで「新型コロナ」と「マスク」で検索すると、1万2千本を超える記事が出てきました。最も古いのは2020年1月11日付の夕刊に載っていました。

「武漢の肺炎 初の死者」という16行の短信です。「当局はマスク着用など必要な対策を取るよう呼びかけている」と中国の動きとして報じています。

まもなく国内でもウイルスが確認され、マスクのニュースが急増しました。品薄になり、価格が急騰。政府が全国民にマスクを配りました。「マスク警察」が登場します。マスクが日常になっていきました。

習慣や慣れとは恐ろしいものです。感染が落ち着いてきたので外して構わない、と言われても、なかなか踏み出せません。思い切って外してみると、すれ違う人からどう見られているのかが逆に気になります。マスクの記事はきっとまだまだ続くのでしょう。

一方、変わる環境があります。新型コロナ対応の節目と合わせるように、宮城県の気仙沼支局に異動です。震災の取材に復帰です。この欄も引き続き担当します。

朝日新聞気仙沼支局長 山浦 正敬