関東大震災からも防災を学ぶ津波被災地
関東大震災から9月1日で100年。10万人以上が犠牲となった災害は多くの教訓を今に伝えます。
12年半前に東日本大震災の津波に襲われた三陸地方でも、想定される南海トラフ巨大地震や首都直下地震はひとごとではありません。発生メカニズムやサイクルについて解明がさらに進めば、次への備えが深まると考えるからです。
宮城県気仙沼市は水産業の街です。その漁港そばにある鹿折地区に、中層の災害公営住宅8棟と水産加工会社が並びます。そこで毎週、住民によるまちづくり協議会が開かれます。
まちづくり協議会は自治会などを核とする地域連携の組織で、全国各地にあります。被災地では、行政が防潮堤や区画整理など復興計画を示し、住民の声を聴く場にもなりました。鹿折地区では震災翌年の秋に発足。津波と火災で地区はゼロからの再出発でした。自治会だけでは大変だろうと、住民らが立ち上げました。復興工事は完了しましたが、協議会の活動は今なお活発です。
毎週の会議で、避難所開設訓練や盆踊り大会などを企画します。水産加工会社で働く外国人実習生も巻き込みます。彼らも住民と同じく地区の人だからです。
三陸沿岸は津波常襲地帯です。防災士の資格を持つ中心メンバーらは会議の最後に防災を学び合います。節目の「防災の日」を前に、関東大震災も題材にしました。
今年も豪雨など災害の絶えない列島です。身の回りの備えを常に意識する鹿折地区の人たちを私たちも見習いたいものです。
朝日新聞気仙沼支局長 山浦 正敬