現場一期一会(人生を変えた「拍子抜け」なきっかけ)

人生を変えた「拍子抜け」なきっかけ

きっかけを尋ねると、拍子抜けする答えが返ってくることがあります。

80歳を超えた修道女は半生を太平洋の島々に捧げました。森や海の豊かな自然を守ろうと島の人たちと手を取り合いました。その思いを本にまとめたのを機会に話を聞きました。

なぜ、南国の島まで行くことになったのか、が知りたくなります。

「転勤よ」

勤め人によくある異動でした。西日本の系列高校で社会科を教えていたらグアムの高校に行くように命じられたそうです。さらに「太平洋で泳げるよ」とも言われたそうです。冬の朝、凍った路面で滑って転んで、首を痛めていました。その治療にも役立つはず、との意味です。

島の自然を守るため、といった意気込みはまったくなかったそうです。

ただ、そこからが違います。環境汚染や過去の戦争の傷痕、森林伐採……。目の前で起きる理不尽さに立ち上がりました。そこから半世紀近く、島の人たちに寄り添い続けています。

東北・釡石の呑ん兵衛横丁のリーダーだった居酒屋の女将(おかみ)もそうです。

カウンターに立つきっかけは、知り合いだった店主から店を引き継いでと頼まれたから、でした。紳士用ネクタイを売っていた20代半ばのデパート店員からの転身でした。

それから同じ店を1人で守って60年です。今も現役です。ひょっとしたらギネス記録かもしれません。

11月で私も還暦。ひょんな出来事で今後の人生が変わるかも、と思えばワクワクします。

朝日新聞気仙沼支局長 山浦 正敬