寝ても覚めてもすぽーっ!(五輪競技をめぐる採用の不思議)

五輪競技をめぐる採用の不思議

五輪に関心がある人でも混乱しそうです。2028年ロサンゼルス五輪で、公式競技に加えて野球・ソフトボール、クリケット、ラクロス、スカッシュ、フラッグフットボールの実施が決まりました。

「そういえば、パリ五輪は野球・ソフトが外れるんだよね」「新採用のダンス競技、ブレイキンはロス五輪ではどうなるの」。すぐにこんな疑問が浮かぶかもしれません。

すべては、東京五輪で始まった「追加競技」に起因しています。28の「正式競技」に加え、組織委員会の提案で野球・ソフト、サーフィン、スケートボード、スポーツクライミング、空手が実施されました。

パリ五輪では野球・ソフトと空手が外れ、ブレイキンと合わせた4競技が追加競技に採用されます。続くロス五輪ではブレイキンが外れ、スケートボード、サーフィン、スポーツクライミングは正式競技に昇格。復活の野球・ソフトを含む五つが追加競技に。頭の整理にひと苦労です。

新しい制度には五輪の門戸を広げる意義はあるでしょう。他にも電動カートによる「モータースポーツ」など、採用を希望する競技はいくつもあります。

その導入は開催地に裁量権を与え、大会の独自性や多様性を創出することで立候補都市を増やすのが狙いだそうですが、採用ぶりには疑問も拭えません。五輪肥大化の批判に、コンパクト化へ向けて切ったかじとは逆方向ではないのか。何より競技の採否の理由が不明瞭ではないのか、と。

採用が1回限りの競技の選手を思うと複雑です。

朝日新聞論説委員 西山良太郎