寝ても覚めてもすぽーっ!(スポーツ濃縮化の時代に)

スポーツ濃縮化の時代に

昨季の大リーグ野球で、大きな変更は「時短」でした。投球間隔の間延びを減らすために導入したピッチクロックのことです。

投手は無走者なら15秒以内、いても20秒以内に投球しなければボールが、打者は残り8秒以内に構えなければストライクが宣告されます。おかげで試合は平均2時間40分と前年より24分も短くなりました。

また、年間の観客動員は7074万7365人と前年から1割近く増え、6年ぶりに7千万人を突破。動画配信の視聴は127億分と過去最多でした。

二つの相関関係には詳細な分析が必要ですが、導入の狙いがファン離れの防止だったことを踏まえれば、成果はあったと言えそうです。同様の仕組みは、昨年のラグビーW杯でもゴールキックの時間短縮のために導入されました。

五輪でも、5日間だった近代5種は2日間に。本来は長距離3種目で競うトライアスロンは、2000年シドニー五輪でアイアンマンレースの4分の1の短縮版が採用されました。28年ロサンゼルス五輪で採用されるクリケットも1日平均7時間で4、5日かかりますが、五輪は3時間、1日で終わる短縮版です。

最近は映画やドラマを早送りで楽しむ若者が増え、批判も耳にします。スポーツの時短にも「じっくり楽しめない」と否定的な意見は少なくありません。

しかし、試合時間は短くとも、求められるプレーの質や準備は変わりません。むしろ競技が濃縮され、勝負のあやを実感する場面が増えた気もします。みなさんはどうでしょうか。

朝日新聞論説委員 西山良太郎