「浮草稼業」のプライド
国内のプロ野球は５球団が新監督で開幕を迎えました。それぞれ事情は異なっても、球界の半数近い大幅な入れ替えです。
中日の立浪前監督は３年間すべて最下位。西武の松井前監督も２年間で５、６位。監督一人の責任ではなくとも、結果を負うのはトップの宿命でしょう。
意外だったのはオリックスと阪神でした。中嶋前監督は昨季５位とはいえ、前年までリーグ３連覇。岡田前監督も２年間で１、２位です。成績だけでいえば続投でもおかしくありません。本人の考えや体調もあったのでしょう。球団側が後任選びに苦労した印象が残りました。
その点で中日・井上、西武・西口の両監督は２軍監督から昇格。チーム作りの継続性を意識する球団側の姿勢を感じました。
一方で、読み解くのが難しいのが楽天です。三木監督も２軍監督からの昇格ですが、２０２０年にも経験があります。この時は４位ながら１年で交代でした。
昨季の今江前監督も４位ながら１年で三木監督の再登板となりました。創設から２０年間で監督が１０人、うち６人が１年（代行を除く）で退任です。
監督に何を求め、どう評価するのかが見えません。監督側から浮草稼業のぼやきが聞こえてきそうです。
監督として、栄誉と同じくらい苦杯も味わった野村克也さんから「組織はリーダーの力量以上には伸びない」と聞いたことがあります。どんな組織にも通じる言葉でしょうか。
選んだ球団側と選ばれた新監督の、覚悟と手腕に注目したいと思います。
朝日新聞論説委員 西山良太郎