現場一期一会(防犯のためにも未解決事件に関心を)

防犯のためにも未解決事件に関心を

1995年以降に起きた殺人と強盗殺人で未解決のままの事件が369件ある。朝日新聞の同僚記者が7月、未解決事件をまとめたリストを報道しました。

15年前の法改正により、95年4月28日以降の殺人事件などには時効が適用されなくなりました。

95年4月は、オウム真理教による地下鉄サリン事件の翌月です。前後に警視庁を担当した私も当時、治安の悪化を感じていました。

オウム事件の取材が続く中、八王子市のスーパーで女子高生ら3人が射殺されました。翌年には葛飾区の住宅で女子大生が殺されました。2000年の大みそかに世田谷区で一家4人が殺害された事件は、警察庁を担当していた時でした。いずれも未解決事件のリストに載っています。

身近な人を失うのは悲しいことです。ある日、突然、事件に巻き込まれたら心の整理がつくはずがありません。世間の記憶が時間の経過とともに薄れても、遺族の心の傷は癒えないでしょう。災害や交通事故も同じです。

朝日新聞のデジタル版では、リストを発生地や年代順に検索・表示できます。事件の概要と担当する警察署の連絡先も記載しています。防犯意識を高めるためにも、自分の住む地域を一度、調べてみてください。

特集で驚いたのは、東京都内で2013年以降、未解決の殺人・強盗殺人事件がないことです。街中に防犯カメラが張り巡らされたのが犯人の追跡に力を発揮しているようです。防犯カメラの急速な設置もまた、世田谷の一家殺人事件が契機でした。

朝日新聞立川支局員 山浦 正敬