「丙午」の迷信につきあってられない
2026年は干支(えと)の組み合わせから60年ごとに巡ってくる「丙午(ひのえうま)」です。
昭和時代だった前回の1966年、国内の出生数が激減しました。年間136万人で、前年の4分の3です。根拠不明の迷信が背景にあります。
「その年に生まれた女は気が強く、夫を食い殺す」
今では笑い話にもならない言い伝えです。でも、人口の統計を見れば、その年に生まれた赤ちゃんが極端に少ないのは事実です。翌年には急回復しました。
66年は高度経済成長期で、人気英バンド・ビートルズが初来日しました。丙午の迷信については国も戦後に「悪質な迷信」と指摘し、朝日新聞も事前に「信じるな」と報じていました。それにもかかわらず、世界の歴史を見ても異例な出生減が出現してしまったのです。
私の三つ年下の妹も丙午生まれです。同学年の人が少ないため、「受験や就職が楽だっただろう」と別の誤解は受けたようですが、迷信の言う災難とは無縁です。
人を不安にさせるような偽情報はなぜか広まりやすい。昨今のSNS時代に痛感します。それらを修正したり打ち消したりするのはまた難しいのです。
では、令和の丙午はどうなるのか。新聞や本でも考察されています。
さすがに、60年前の再現はないでしょう。そもそも少子化と人口減に直面する現状を考えれば迷信どころではありません。
2025年に生まれる赤ちゃんは70万人を切る見込みです。前回の丙午の半分なのです。
朝日新聞立川支局員 山浦 正敬
