現場一期一会(ポーランドの日本人サッカー選手のつぶやき)

ポーランドの日本人サッカー選手のつぶやき

「彼らにかける言葉が見つかりませんでした。最後に今自分の持ってる食糧をあげてハグするのが精一いっぱい杯の気持ちでした」

ポーランドのサッカーリーグでプレーする相馬将夏(まさか)選手(29)がツイッターに書き込みました。「彼ら」とは2人のチームメイトです。ロシア軍のウクライナ侵攻を受け、戦うために母国に戻りました。

相馬選手は埼玉県出身です。小学5年生からJリーグチームの下部組織に入り、プロ選手を目指します。大学とJFL などを経て欧州に渡ったのは1年前でした。縁あってずっと応援しています。

サッカーに集中する生活に突如、隣国で勃発した戦争が飛び込んできます。

ウクライナでは総動員令によって18〜60歳の男性は国を離れることができなくなりました。国外にいて対象外のはずの彼らですが、家族のいる地に戻ると決断します。相馬選手と同じく、サッカーの目標や夢を持って国を出たはずの彼らです。

相馬選手は次々とつぶやきます。日本語に加えて英語でも発信しました。
「人生で2度としたくない経験、感情が生まれました。夢を持つ19歳の青年2人が戦争するために自国へ帰るのを見届けること」

彼らが2日後に首都に着いたと知ります。ロシア軍が迫るキーウです。
「ずっと自分の心はざわざわしています」

意見や考え方の相違があるのは当然でしょう。だが、解決法として武力は絶対にノーです。
彼らを含むすべての人の平和を求めます。

朝日新聞さいたま総局長 山浦 正敬