寝ても覚めてもすぽーっ!(たちすくむハンドボーラーたち)

たちすくむハンドボーラーたち

このまま分裂するのでしょうか。日本ハンドボールリーグが9月、2年後に発足するプロリーグへ参加を希望する男子9、女子10チームを発表しました。波紋を広げたのは現在の日本リーグ男子12チーム中、五つの名前がなかったことでした。国内リーグが二分される異常事態です。

なかでも衝撃的なのはジークスター東京と湧永製薬の参加見送りです。IT企業が親会社のジークスターは日本代表級を次々集め、試合の演出も積極的なプロ化推進の旗頭。湧永も親会社の社長はプロ化を打ち出した日本協会の会長です。

なぜ分裂なのか。その背景を「地域密着か企業重視か、思想の違い」「1500人収容のアリーナ確保など参加条件の高さ」とリーグ側は分析しますが、改革の手法などと合わせ見送り派との溝は深そうです。

思い出すのはバスケットボールです。プロ化を目指す男子リーグが分裂し協会も大混乱。一時は国際連盟から無期限の国際大会出場禁止処分を受ける事態に。

意見や利害の異なる組織が互いに議論をぶつけあいながら合意を積み上げるのが本来の姿。今も「あうんの呼吸」と「根回し」がはびこる国内の競技団体には苦手分野でしょうか。

外部を「よそ者扱い」する姿勢も気になります。改革の中枢はバスケットの事務局から招かれた人材ですが、周囲の協力は不十分。今年プロリーグが発足したラグビーでも、当初外部から招いた女性準備室長を、力を発揮する前に交代させた記憶がよみがえります。

問われるのは古い運営意識からの脱皮でしょう。

朝日新聞論説委員 西山良太郎