現場一期一会(統一選の年で思い出す33年前の取材)

統一選の年で思い出す33年前の取材

昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に、私の勤める埼玉県にゆかりの武将も登場しました。有力御家人だった比企能員や畠山重忠です。ともに鎌倉幕府に滅ぼされる結末でしたが、地域の歴史に再び光が当たる機会となりました。

幕府内の権力争いは武力によりました。現代は選挙で選ばれます。どの人や組織に任せるかは有権者が決めるのです。選挙が暮らしの行方を決めるため、私たちも報道に力を注ぎます。

記者として初めて臨んだ総選挙は1990年2月でした。直前の首相も立候補した選挙区で、引退する親の地盤を継ぐ「2世候補」を担当しました。同選挙区では30年ぶりの与党新人候補でした。世代交代に注目した記事は切り抜いて今も保管しています。

それから2月で丸33年です。2世候補は当選を重ねて今は衆議院議長です。政界という山をどう登っていったのでしょうか。初当選のバンザイを取材した記者として気になります。

さて、今年は4年に1度の統一地方選挙です。知事や市町村長、地方議会の選挙が春に集中します。1947年に始まった時は全国一斉でしたが、徐々に外れる選挙が現れ、今の「統一率」は3割未満です。

首長の辞任や議会の解散、市町村合併などが理由です。12年前の東日本大震災では、被害の大きい東北3県の選挙が約半年、延期されました。

ただ、数が減ったとはいえ全国規模の地方選挙が時には国政に影響を与えます。物価高対策など課題は山積です。よく考えて一票を投じたいものです。


朝日新聞さいたま総局長 山浦 正敬