ゲーム機放してスポーツを
子どもの重症化リスクは低いとはいえ、コロナ禍が成長期の体にどれほど影響を及ぼしたのか。国内感染が始まって3年がたち、その重大さを実感します。
スポーツ庁によると、今年度の体力・運動能力テストの合計点は、現行の形になった2008年以降で最低でした。調査は全国の小学5年生と中学2年生の計190万人を対象に、8種目の実技と運動習慣・意識をまとめています。
種目別では50m走と持久走・シャトルランは小中学生の男女とも過去最低レベル。記録の上昇傾向は長座体前屈くらいで、握力やボール投げは横ばい、その他の上体起こし、反復横跳び、中学男子を除く立ち幅跳びは低下傾向です。
原因は複合的とはいえ、コロナ禍の生活を考えざるを得ません。学校は休校に追い込まれ、外出も控える日々。再開後もマスク着用を強いられ、部活などにも多くの制約があります。
調査では1日8時間以上睡眠をとる子どもが減りました。テレビやゲーム機、スマホに向かう時間がのびて、小学男子と中学男女の4人に1人以上1時間以上に。肥満が増え、小学男女と中学男子の割合は過去最高でした。
生活習慣病を防ぎ、心身の健全な発育に身体活動は欠かせません。救いは「体育の授業が楽しい」という子どもがわずかでも増えたことでしょうか。それは窮屈な生活からの解放を願う体の叫びかもしれません。
専門的な競技でなくとも大丈夫。ゲーム機やスマホから離れ、体を動かす楽しさを取り戻す工夫を考え続けたいと思います。
朝日新聞論説委員 西山良太郎